海軍中尉結城保のマリアナ沖決戦
「海軍中尉結城保のマリアナ沖決戦」 矢吹直彦 第一章 過去から来た男 「結城先生、編集者の方がお見えです…」 「はい、通して下さい…」 女性の落ち着いた声が、扉の向こうから聞こえてきた。 声の主は、青木裕子。 明誠大学文…
「海軍中尉結城保のマリアナ沖決戦」 矢吹直彦 第一章 過去から来た男 「結城先生、編集者の方がお見えです…」 「はい、通して下さい…」 女性の落ち着いた声が、扉の向こうから聞こえてきた。 声の主は、青木裕子。 明誠大学文…
架空戦記 若鷲の歌 -ああ回天特別攻撃隊- 矢吹直彦 第一章 回天戦、用意! 「回天戦用意!」 遂に来た。このひと月、この発令をどれほど待ち望んでいたか。 「よし、みんな、準備はいいな!」 「横田、新海、矢野、大丈夫か?…
右衛門七の小柄 -忠臣蔵外伝- 矢吹直彦 序章 東京は浅草の古い土蔵を壊していた時のことである。 今まで、何十年も入ったことのない二階の奥から古い文箱が出てきた。かなり年季の入った文箱で、おそらくは江戸時代中期の頃の物だ…
架空戦記 大和民族の誇り Ⅱ プログラム№2「バトル・オブ・ブリテン・大和飛行隊」 矢吹直彦 第一章 日米首脳会談 昭和十七年一月末日、日米交渉が再開された。 それも場所は、ハワイオアフ島のホテルである。そのナショナル…
架空戦記 大和民族の誇り Ⅰ プログラム№1「日米戦争勃発か…」 矢吹直彦 第一章 連合艦隊司令長官 小沢治三郎 冬の北太平洋は、もの凄い荒天に見舞われると知ってはいたが、この風と高波には、さすがの小沢も辟易としていた…
白虎隊外伝 自刃 神保雪子 矢吹直彦 第一章 娘子隊 「遂に、このときが来たのね…」 雪子は、お城から聞こえる早鐘の音にひとり身支度を調えながら、心を固めていた。それは、女ながらに袴を履き、白鉢巻きと白襷に神保家先祖伝来…
「JACK外伝 山田健太郎の最期」 矢吹直彦 「よし!敵機を振り切ったぞ!」 「このまま、低空飛行で沖縄を目指す!」 無線で、列機にそう怒鳴るように告げると、海軍中尉山田健太郎は、ひたすら、操縦桿を硬く握ったまま、前方を…
「JACK外伝 夜間戦闘機隊・月光」 矢吹直彦 序章 撃墜 「こちら、三日月三番。ただ今から攻撃に入る!」 無線のスイッチをオンにしたまま、俺は上目遣いに敵影を見詰めていた。 無線は、こちらが切らない限り、厚木航空隊基地…
JACK 「蒼空の雷電」 矢吹直彦 序章 孫娘 朝だというのに、既に気温は三〇度近くを指している。日本の夏の特徴だとはいえ、八十半ばを過ぎた身には堪える。 儂のいるここ白河は、昔から東北への玄関口として栄えた城下町だ。…
「泣き虫、主税」ー忠臣蔵外伝ー 矢吹直彦 序章 寒い朝… 寒い…。 部屋の中に遠慮なく入ってくる外の風は、殊の外冷たい。そろそろ、小さな虫が地上に顔を出してもよさそうなものだが、今年に限っては、まだ深い土の寝床から出たく…